花筏

部屋を片付けている時にふとテレビを点けたら、六代目柳家小さんの落語の最中。最初と話が変わって土俵に上がることになった花筏に、どうすればいいかを親方が教えている所でした。

初めて聴き込んだ演者の型で演目のイメージが決まってしまう、というのは仕方のない事ですが、私にとって「花筏」という演目は桂枝雀の型が基準になってしまっていて……あの起伏の多さとキャラ造形を犠牲にしても笑いを畳み掛ける型はオンリーワンで比較の基にするのは無理があると解ってはいますが、それにしたって今日の花はえらく淡々と噺が進むのにびっくりしました。

 

落語に全く興味のなかった大昔、ラジオで流れた花筏がなんだか妙に印象に残っていました。とはいえ、細かい筋とかは全く覚えておらず、力士が二人向かい合って泣きながら念仏を唱えている、というシーンのシュールさしか覚えていませんでしたが。

「饅頭こわい」とか「時そば」の様に噺と筋のどちらを先に知ったか不明なものは傍に置いて、おそらく最初に触れて最初に何かしら引っ掛かった落語は「花筏」なんだと思います。

 

そんな特別な噺だというのに、考えてみたら私の知っている「花筏」はその時の印象と桂枝雀のものだけ。

他の演者だとどうなるのか、とても興味が湧きました。Amazonのデジタルミュージックには花筏の音源がなく、iTunes Storeには柳家喬太郎花筏……柳家喬太郎……大好きですけど、所謂本寸法とは全然違うんだろうなあ。でも、面白ければそれはそれでいいですし、心の買い物リストに留めておきましょう。